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化石のはなし

motoron.exblog.jp

北海道で化石採取をしている motoron と Ryoのブログです。

当別・大沢・鰭脚類の骨

化石採集を始めて1年目。
採土場にお邪魔して化石を採取する様になりました。
数は少ないですが、ワタクシにとって初めての化石が採取できドキドキでした。
今から思えば、大したものではなかったり、状態が悪過ぎたりでしたが、
その頃は本当に貴重に感じていました〜(+∀+)。

この頃は、Ryoが出張に出ている間に、ワタクシが新しい採集場所を探していました。
ぐ〜ぐる先生の航空地図で当別の大沢という所に採土場をみつけ、7月のある日、出かけました。
近くの別の採土場は灰色の泥岩でしたが、ここは主に茶色で砂と泥でした。
いつもの採土場の上部層と似ていましたので、こちらの方がずっと新しいのだと思いました。
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良く晴れた風のない午後、目に入る汗に堪えながら、端から順に這う様に化石の痕跡を探します。
採土した山をいくつも調べ、露頭部分も下から順に隈無く歩いたのですが、
貝殻の破片ひとつ無く、ガッカリしていました。それでも諦め切れず、
もう一度、切り出し面にピタリと張付き、ジッと端から見てゆきました。
小石が入っているばかりで、やはり貝は見つかりません。
しかし、ふと目に止まったベージュ色の5mm程の破片が気になりました。
道具は持ってきていなかったので、小枝を使い少しずつ掘り出しました。
小さな欠片は、私の直感では「骨」でした。
しっとりと濡れたそれはカスカスした感触で、枝が擦れると粘土の様に粉っぽく削れてしまいます。
掘り出してみると、10mmx5mm程の欠片でした。
砂がびっしりと付着していますが、表面は密で中はスポンジ状です。やはり骨片と思いました。
大した事の無い貝化石で心底喜んでいた、その頃のワタクシです、
予想もしない、この思わぬ発見にドキドキしてし、体が火照る様でした〜(+∀+;)。
同じ層、もう少し奥にも他の部分があるのではないかと思い、さらに掘り進めました。
砂の堆積した層とは言え、案外硬く、枝は簡単に折れてしまいます。
その度に小枝を拾って来ては、少しずつ穴を広げて行きます。
10cm程奥から、3mmx4mm程の小さな欠片が出て来ました。確かにこの層にある様です。
まだあるかしからん?と、しつこく掘り続けます。
見え始めた厚さ3mm程のものには続きがあり、やがて、全てが現れました。
飛行機の垂直尾翼や昇降舵の様な形、間違いなく頚椎。
2時間程かけて大体を掘り出し、イタドリの葉で何重にも包み、草で縛り、
トトロのお土産の様にして、そっと持ち帰りました。

ピンク点の所から出てきました。
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付着した砂粒はなかなか取れず、針の先で一粒ずつ除去しました。
風化した骨はもろく、一度コーティングをしてから、組み立て作業をしました。
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一応、様になったところで「コレハ、ナンノ骨デアルカ??」推理しました。
・小さい穴が二つ(横突孔)があるので、首の骨。
・すんごく古いモノではない。でも、あの深さですから、チョー最近のモノでもない。
・海の貝が全く見つからなかったので、陸の生き物?
・随分大きいのでキツネ、タヌキでは無い。もっと大きな動物。
・もちろんヒトではない。それは困る、コトワル(+∀+;)いや化石ならそれでもイイか。
・では....クマ?シカ?
さっそく、ぐ〜ぐる先生に伺って、がっかりしました。シカは全体的に長く、全く違いました。
では...クマだ!!違う様です。一応、クジラ系も見てみましたが...これも全然違いました。
あ〜、も〜....他に大きい陸上生物が思いつきません。
はいはい。これは、早くも迷宮入りですか(+∀+;)!?

本屋さんに行く度、骨本に片っ端から目を通しました。
ある日、読み物系の骨本をめくっていると、この性悪ピエロが笑っている顔の様な骨に
すんごく良く似たイラストが載っていました。
トドの骨でした。(+∀+)!!キタコレ!!!鰭脚類か!!なるほど大きい訳です。
そして、陸上の生き物ではなかったのですね〜。ワタクシの推理冴えてる〜(涙)。

それからは、厚田の浜でトド系の骨を拾い集め、鰭脚類と確信する様になりました。
しかし...トドの頚椎はずっと大きいのです。子供なのかしらん?他の鰭脚類なのかしらん?
ワタクシが出来るのはココまででした。。。

1年が過ぎました。教育大学のS教授のブログに厚田などでのビーチコーミングの話がよく掲載され
いつも楽しみに読んでいました。ある時から、海岸に打ち寄せられたアザラシや
トドの死骸や骨の話が多くなりました。
そこで、懸案であった、この骨の事を質問させて頂きました。
写真をお送りしたところ、新しい様に見えるので「化石」ではないかも...との事でした。
しかし、その後、S教授は海獣類化石の専門家である国立科学博物館のK先生に
わざわざ問い合わせて下さったのです。

今後、もしも、同様の化石を採取された方への情報も兼ねて、
以下、差し支えない限りで、K先生から頂戴したメールの一部を転載いたします。

1通目
写真拝見致しました.色あいは風化のせいか白っぽいですが,化石だろうと思います.
たしかに,標本は鰭脚類の頸椎で,おそらく第3頸椎あるいは第4頸 椎だろうと思われます.
大きさが分からないので何とも言えませんが,セイウチ科では椎体よりも
椎孔(椎体の上にあり,脊髄神経が通る穴)が相対的に小さい傾向があります.
この標本は,それに較べると椎孔がやや大きいことから,セイウチ科ではなく
アシカ科のものかも知れません.当別層の時代からは,アシカ類と
セイウチ類の両方が知られていますが,これまでの大ざっぱな傾向として,
本州の同時代の化石産地からは比較的アシカ類が多く産出しており,
北海道では同時代からはほとんどがセイウチ類のようです.
したがって,北海道からはこの時代のアシカ類がほとんど知られていないので,
もしアシカ類だと大変興味深いものです.
(もちろん,セイウチ類だとしても貴重な標本ですが)
さしあたって,セイウチ類かアシカ類かを判断する上では大きさが参考になりますので,
もし差し支えなければスケールの入った写真を見せていただけると大変幸いです.

2通目
先日の当別の標本ですが,参考までにトドの雌の第6頸椎の写真を添付致します.
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全体の形態や大きさはアシカ科鰭脚類としてよく一致していると思いますが,
先日のメイルでも指摘した椎孔の大きさがトドより大きいことや,
関節突起の大きさと向きがトドとは若干異なっていることなど
トドそのものではないことが伺われます.
当別層の時代だと先日のメイルの通り北海道ではアシカ科鰭脚類の報告はありませんが
後期鮮新世~更新世前期には現生属が現れ,とくに中期更新世以降は現生種が現在と
ほぼ同様の分布をしていたようです.したがって,この標本を今後更に比較検討するとすれば
ニホンアシカの雄 (体サイズはトドの雌くらいでちょうど合います)の第5
もしくは第6頸椎が対象となると思います.
近々国立歴史民族博物館にニホンアシカの頭蓋標本を見に行く予定でいますが,
その際に頸椎の標本がないかどうか見ておきたいと思います.

今後、どの様な結果がでるのか...(+∀+)本当に楽しみです。

S教授、K先生には本当にお世話になりました。あらためてお礼申し上げます〜。
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by motoronron | 2012-08-14 23:59 | 当別 | Comments(2)
Commented by トシプ at 2012-08-15 10:15 x
おはようございます。
アシカの脊椎ですか?
しっかりと形が出ていて良い標本ですね!
確か中川のミュージアムにもアシカの化石がありましたよ。
今度は恐竜の化石ですね!
Commented by motoronron at 2012-08-15 10:27
おはよ〜ございます〜(+∀+)!!トシプさんまいどあい〜です。
どぅえ〜(+∀+;)!中川の博物館にはアシカ化石があるですか!?
いつか、中川に行った際には見て来ますね!!貴重な情報をありがとうございます〜。
恐竜といえば...先日、夕張のお気に入りの川で骨の様な化石を見つけました。
恐竜ではないのでしょうが、なんでしょね〜(+∀+)。