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化石のはなし

motoron.exblog.jp

北海道で化石採取をしている motoron と Ryoのブログです。

浦河・井○台

浦河はワタクシにとって、遠いところでした。
でも、やっぱり海岸でのアンモナイト採集には、ずっと憧れがありました。

「これで、もう当分来れないね~...」
「えぇ、これからは厚田で半年ですね...」
昨年12月上旬。雪の降る中、三笠で最後の白亜紀系採取をしての帰宅途中です。

厚田の崖は大好きだけれど、やはり半年間そこだけというのは辛いものがあります。
「どっかないかな~?」
「道南は雪が無いですよ」
「道南って?」
「函館の方とか...太平洋側は基本的に雪が少ないですよ」
「函館か〜...他にいいトコないの?ガッパイウニは?」
「弥永さん(※)のところで見たガッパイウニは様似産でしたよね(※)」
「様似って道南?」
「日高、浦河のもっと先です。襟裳岬の手前」
「浦河にも行けるの?イイじゃん!!」
「ん~、浦河ならまだしも、様似はどの辺りでアンモが出るかわからないんです」
「じゃ、浦河でいいよ」
「浦河も潮が引いてないと難しいですし、日帰りだと、あまり見る時間がありませんよ?」
「下見ということで、どんなトコか行ってみようよ~」
「.....もし、採れなくても、怒んないでくださいよ~(+∀+;)。。。」
「イイよ。行こう!!行こう!!」
いつもの事ですが、急に行き先が決まりました。

(※)弥永さん....札幌にある「弥永北海道博物館」
(※)ガッパイ...Ryoの愛読書「わたるがぴゅん!」登場人物、宮城君のあだ名。
沖縄方言で「後頭部の大きいヒト」高さのある白亜紀ウニをなぞらえRyoが命名。
ちみなに、ワタクシはかなりガッパイ(+∀+;)。。。。

あくる日、いつもより、ちょっと早めに家を出ました。
この冬は、例年より降雪が早く、12月上旬だというのに随分積もり、おまけに今朝は猛吹雪です。
ひどすぎる天気ですが、とにかく太平洋側へ向かえば必ず雪は減るのです...はずなのです。
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何より心配だったのは...
・千歳空港あたりに沢山ある、ニョローーンとしたモダンな道路群(超絶苦手です)
・人生初めての高速道路(教習所では高速講習が嵐で中止。シミュレーター訓練のみ)
ぐーぐる先生の航空地図を見て、実際どんな風に道路が走っているのか、
どのあたりで車線を変更した方が良いのか、どのルートを通り、どう曲がるのか...
自分はもちろん、Ryoにもわかりやすく書き出しました。
教則本を出して来て、高速に関しての項目を何度も読み返しました。

途中、北広島を抜ける道々46号線~国道274号線は最悪でした。
吹雪が酷くて1m先も見えないのです。すぐ前に車が無いので、
テールランプをたよりにすることもできません。
道路はアイスバーンになっています。
そのうち、正しく車線を走っているのかも疑わしく思えてきて、ひどく緊張します。
まだ冬のはじまり、気温は高くガラスにあたった雪はみぞれ状になり、
ますます視界を邪魔します。全てのドライバーが突然訪れた真冬に翻弄され、
ハンドルさばきが覚束ない様です。

千歳空港を抜け、美々(びび)を過ぎた辺りで、ようやく吹雪は止みました。
正直、何度も帰ろうかと考えた道程でした。
しかし、ワタクシの最大の鬼門である、高速道路はこれからです。
ウトナイ湖を過ぎました...。いよいよ来ました。I.C.「沼ノ端西」から終点まで無料区間のハズです。
どんどん近づいて来ます。近づいて来ます。看板出て来ます。近づいて来ます。
入り口わかりません。ぜんぜんわかりません。ここから入っていいのかわかりません。
通過します。あちこち「浦河アッチ→」って書いてます。どっちだ?
しかし、この道、このまま走ってていいのかわかりません。
でも、ずっと高速道路にそって進みます。なんだこの道??
運転歴はワタクシの何倍もあるRyoも「はて?」です。ならばワタクシはもっとわかりません。
ぐあーーーーっ!!だから高速なんてイヤなんだ~(+∀+;)!!!!!バカーーっ!!!!!!!!
結局、次のI.C.から乗り入れ成功いたしました。天候のせいか70km規制でした。
普段ならば大した事ないスピードなのに、ミョ〜に緊張します(+∀+;)
それに、高速道路って、こんなに狭いの?なんだか普通の道の様です。田舎だから?
70~80くらいで走るワタクシを後続車が猛スピードでドンドコ追い抜いて行きます。
どぅえ~(+∀+;)。。。あれ、一体何キロ?あっと言う間に点になってゆきます。
道路は凍ってない様ですが、雪が海風に吹かれ絶えず路面を舐める様にうごめいていました。

どうにかこうにか無事に初高速道路を走りきり、太平洋沿いの国道235号線に入ります。
ココからが長い...。数年前「1日フリーきっぷ」なるもので様似まで、二人旅をしたのですが、
やはり汽車(道産子は鉄道はぜんぶ「汽車」)からの風景とは随分違う様です。
さすがに日高地方、どこを見ても馬に関する施設や牧場があります。
「いっぱい馬の牧場があるね〜」とRyo
「やっばり、本場ですからね〜(+∀+)」
「うんうん、美味しいもんね〜(^ ^)」
「たしかにっ!!たしかにっ!!美味ではありますが、たぶん、どっちかって言うと走る方(+∀+;)?」
「そっか〜...そうなのか〜.......。」
Ryoは生粋の熊本女。長じるまで「肉=馬」と信じて育ってきた「くまもん」です。

浦河に近づくにつれ、日差しが強くなり、フリースでは暑く感じる程です。
もちろん、雪は微塵もありません。今朝の除雪作業も吹雪の中の運転も、全て夢の様です。
数ヶ月前にタイムスリップした気分です。
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浦河市街やや手前にある、寒そうな井戸の様な台っぽい場所に2時過ぎ到着しました。
皆さん、ドコから海岸へ降りているのでしょうか?駐車出来そうなところが見当たりません。
車通りが多く、アワアワしているうちに、漁師の家の前の道路に入ってしまいました。
かなり不審で気まずいです。けれど、Uターンする場所もなく、とりあえず進んでみました。
コンクリート製の道路は途中から細くなり、海側はストンと切れて落ちていて、
山側はコンクリートの斜面になっています。
これは...ちょっとギリギリすぎません?もしかして、車で進んでは行けない道だった?
「抜けたら即Uターンしましょう(+∀+;)」
ソーッと砂浜に乗り入れます。砂の粒が大きくて一見安定していそうです。
「いつもの望来浜よりずっとイイかんじですよ。では..バックいたします...」
慎重にバックを開始しました。。。。??あれ?この音この感じ...もしかして〜...。
ひーっ!!!し〜ず〜む〜...。。。(+∀+;)やめて〜。
「ひゅるるるぅ...」タイヤが空転しそうです。
「も〜、ムリッ(+∀+;)!!!!Ryoさん、運転代わってください。ワタクシは後ろから
押したり、足回り改善したりします〜!!」
作業道の出入口に埋まって、漁師のおいちゃん達に怒られたくはありません。
ましてや、救助を手伝って貰うことになったら最悪です...。
ワタクシは車の周りをクルクル走り回って、手近な漂着物で掘ったり、埋めたり...押したり...
人知れず、どうにか転回を成功させました。Ryoさんがいてくれて、ホント良かったです。

さて...一時はどうなる事かと思いましたが、とにかく憧れの地にたどり着いたのです。
眼前には静かな太平洋と美しい砂浜が広がっています。
水の透明度は高く海底の砂の動きすら見えます。
背後の国道下の急斜面は深い草で覆われ、潮風が吹くたび斜面全体が揺れている様に見えます...。

....コレハドーユーコトデスカ(+∀+)??
カセキトカ、ノジュールトカ、ドコデスカ....(+∀+;)??

遠くまで続く砂浜に、ワタクシたち二人だけ。ポツーン。
あっけにとられながらも、辺りをキョロキョロ。石ひとつ落ちていません。
てっきり、磯の様な状態と想像していたのですが...。

「ホントにココなの???」
「...○寒台ってのは間違いなくココです。地形図やグーグル地図でも調べましたけど、
海岸で他に採れそうな場所はありませんでした」
「無いよ」
「そーですね...(+∀+;)」
「ぜんぜん無いよ」
「まったくで...(+∀+;)...地形図では、海中に点々があったので、干潮時には、
この海に海底が現れる様なのです」
「...無いね」
「完全に海ですものね(+∀+:)....」

とりあえず、西の方角はドコまでも砂浜の様なので、漁師の住宅の方へ歩いて行く事にしました。
決して高いとは言えない防波堤の上に小さな家が隙間無く並んでいます。
地震が多い浦河の海、本当にこんな所に建てて大丈夫なのか、こちらが不安に思う程でした。
ましてや、この年の3月11日の大震災を思うとなおさらでした。
防波堤に沿ってテトラポットがずっと積まれ、その背を波が叩いています。

防波堤が始まるあたり、途切れた部分に少し地層が見えています。
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「あ〜、なんか埋まってるよ!?貝だね」
「コレは...化石の様に見えますが白亜紀ではないですね。一応、採取しておきましょう」
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防波堤とテトラポットの間は幅3〜4m程で、摩耗した石と漂着物が溜まっています。
ひどい有様ですが、石の存在が出て来た事で少し安心と期待が膨らみました。
なんとなく気になる石を拾い上げ、割ってみます
「あっ!イノセラさんが出ましたよ!! Ryoさん、このゾーンから先は出そうです」
早速、Ryoも割り始めます。
「これは?アンモっぽくない??」
「おぉ〜、ハウエリセラスじゃないですか〜(+∀+)!?ほら今朝、出がけに図鑑で見せた
浦河ハウエリと色もそっくりでしょ?」
「そだっけ?」
「そーなんです(+∀+;)!!!幸先イイです。この調子で頑張って下さいね」
ワタクシも幾つかアンモを採取しましたが、大したものは出ず、主にイノセラさん密集でした。
それでも、普段あまり採取しないタイプのものが出てウレシかったです。
「これは〜?」
「ネオフィロセラスですかね〜。すごくイイ感じですよ〜」
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「海でアンモ採るって不思議な感じだね」
「ホントですね。でも、欲を言うと...民家の真下じゃなければもっと良かったですね(笑)
いつ、頭の上からウルサイっ!!て怒られるか心配です」

沢山のイノセラムスと摩耗アンモに割れたアンモ。
初めての産地ですから、参考にと細かいものでも拾います。
潮が満ちていたせいか、あっと言う間に石場は終わり、先は深い海でした。
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採取できた距離は100mくらいでしょうか。その割に採れたとも言えますし、
予想とはあまりに違う産状に困惑もしました。
けれど、今日はもう見るべき場所もありません。それに、たった2時間で夕方になってしまいました。
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「また、近いうちに来ましょうね。春の大潮がイイって何かに書いてましたよ(+∀+)」
「今度は泊まりがけで来たいな〜。様似にも行きたいし...車中泊しようよ」
「久しぶりに、それもイイですね。さ、雪の中に帰りましょう...」
「そっか...!!!あんまり雪がなくって、暖かいから、すっかり忘れてた」
「雪で家に入れないかもですよ(笑)」
「帰ったら、お鍋しよ、お鍋。あったかお鍋。。。」

そして、明くる年の4月、再び、浦河へ行くのでした。
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by motoronron | 2012-08-19 23:44 | 日高 | Comments(10)
Commented by アルビアン at 2012-08-20 16:18 x
こんにちは、おっ、浦河ですかー(^○^)、良いですね、浦河は山側も沢山の産地がありますよ、殆どの白亜紀がありますから、海岸はやはり、選択成功ですね、ハウエリセラス、ゴードリセラスデンセ、フィロセラス、ポリプチコセラス、素晴らしい成果です。最初の画像、あー今年も冬がくるのかーと、でも、暑い日には良いですよ画像(^_-)
Commented by fossil1129 at 2012-08-20 21:00
少し工事でもあれば、ゴロゴロアンモナイトが出てくる山地ですね。
山側の山地にも何度かアタックして
アイノセラスの破片まで行き着いたのですが、
まともなものには出会えていません。
Commented by ZX9-R at 2012-08-20 21:05 x
猛吹雪の日にアタックされるとは凄いですね。しかも、かなり厳しい産地のようで、その中でも採集されるとは流石ですよ! とても採集できるような場所には見えませんね(笑) もとろんさんは産地についても守備範囲が広いですね。Ryoさんは熊本出身ですか。私の祖父母は大分出身です。ちょっと縁が・・・無いですね(笑)
Commented by はにわ at 2012-08-21 00:00 x
今日もすごい文量ですよ。圧巻です。ここまで書かれている化石ブロガーを私は知りません。わたるがぴゅんって・・・久々です
浦河アンモ見つかってよかったですねえ。苦労されたかいがありました。本ではよく海岸の産地とありますが、採集できそうな場所ってなかったんですね。民家の下でコツコツと気になりますね
イノセラすごく綺麗ですよ、飴色がなんともいえません
Commented by もとろん at 2012-08-21 03:18 x
おこんばんは〜(+∀+)。アルビアンさん毎度様〜!!
浦河ってそんなにレンジが広かったんですね。あまり行けませんが、今後が楽しみです。吹雪の風景、ちょっとした納涼写真でしたね(笑)。
Commented by もとろん at 2012-08-21 03:20 x
fossil1129さんこんばんはです〜(+∀+)。
工事...もしくは...崩....いえ、何でもないです〜。そんなコトになったら通行止めで結局行けませんものね(+∀+;)。関西のfossil1129さんが何度も訪れているのですから、ワタクシも頑張って通います〜。
Commented by もとろん at 2012-08-21 03:25 x
ZX9-Rさん、いつもありがとうございます〜(+∀+)
本当にきびしい産地と思いました。海岸については、くじけそうです。
でも、採取はしやすいので、通る事があれば必ず寄ることと思います(笑)。
Ryoさんのおねいさんが大分の竹田なんです〜。
あ、そだ、Ryoさんとワタクシのイモウトさんの大分でのアンモ採集話もありますよ〜。
Commented by motoronron at 2012-08-21 03:32
はにわさん、こんばんは〜(+∀+)!!
いつも、長文失礼いたします...(汗)
ご覧の通り、化石についての情報はお薄なので、
おヒマな時に読んで頂ければと思います〜(+∀+;)。
いずれ、力つき、短くなってゆくと思います〜...
しばらく、おつきあい下さいませ。
Commented by もーりん at 2012-12-04 21:53 x
こんばんは。春が待ち切れず、2月に浦河に行ったことが3度ほどあります。近いようで、遠い片道200キロの道のり。もとろん&Ryoさんと同じで、現地滞在時間が短く、いつも同じポイントを見て帰ってきます。この冬も行きたくなりました。ビーチコーミングもできますね(*^_^*)
Commented by motoronron at 2012-12-05 20:30
もーりんさん、つづけて、どっもでいいいす(+∀+)!
過去記事にコメントを書いて下さり、本当にウレシ〜です〜(涙)200Km全然ちかくないですぅ〜(+∀+;)。ワタクシたち時間は短く、状況もイマイチで成果は散々でしたが、浦河また行きたいと思っております〜。特にミルキーの川はよく歩きたいと考えています(+∀+)。ビーチコは楽しいですよね〜。これからはもーりんさんのビーチコ記事も読めるのですね〜。