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化石のはなし

motoron.exblog.jp

北海道で化石採取をしている motoron と Ryoのブログです。

黒松内・添別・はじめての遠征

2011年 4月上旬

オールシーズン化石採集をしているワタクシたちですが、
やはり北海道、冬から春にかけては産地が限られてしまいます。

「ね~、明日ドコ行く~?望来は行ったばかりだし」
「どこも、まだまだ雪がありますからね...この間の徳富川があんな感じでしたから...」
「アンモは...まだムリか~...」
「三笠や夕張は来月まではダメですね」
「キタヒロ(北広島)は?ダイシャカダイシャカ...!」
「この辺よりは雪は少ないと思いますが、土採り場なので、まだ無理かもしれませんね」
「そっか~...」
「キタヒロと言えば、黒松内では同様の化石が出るんですよ」
「どこ?黒松内?そこ近いの?」
「全然近くないですが...道南の方なので雪はグッと少ない気もします。ほら、去年の秋、温泉に行ったニセコのもっと向うです」
「じゃ、結構遠いね...明日行ける?」
「イイですよ。中山峠がすっごくすっごくイヤですけど...(+∀+;)」

初めての場所、そして片道200Kmの遠出は初めてで緊張します。
その夜は入念に地図で下調べをしました。
今回、目指す黒松内の産地は、第四紀・更新世・瀬棚層上部、
約100万年前の化石が採取出来るそうです。
ワタクシたちが普段採取している化石に比べると随分新しく感じます。

ワタクシのペースだと4時間以上かかる計算なので、珍しく朝早く出発しましたが、
朝の渋滞に引っかかり、札幌を抜けるのに予想以上の時間をとられてしまいました。
そして、ワタクシの鬼門である中山峠。イヤな感じの道が続きます。
制限速度を超えていても、坂でもカーブでも、おかまい無しにあおられます(涙)。
ようやく頂上に近づきました。Ryoがキョロキョロしています。
「あ、そろそろかな~...」
「ヒーコラ...ヒーコラ...なんですか(+∀+;)...?」
「絶対、あげいも買うんだから、アソコ寄ってよ」
「あ~...はいはい、あげいも三兄弟ですね....」
中山峠のドライブイン「望羊館」に立ち寄ります。
普段、道の駅や観光スポットに寄らないワタクシにはちょっと新鮮です。
お土産コーナー等をみていると、修学旅行に行った時の気分を思い出しました。

「今回は瀬棚層からの貝化石です。瀬棚というのは、奥尻島へのフェリーが出ている町の名前ですよ」
「奥尻か~、はやく行きたいね。大っきいビカリア出るんでしょ?」
「そうです(+∀+)!アクキガイもでるそうですよ~。いつになるかわからないですが、絶対に行きたいですね~....」
ひとしきり、17歳の夏休み、友人と二人で奥尻島へ渡り数日間キャンプをした話しをしました。
汽車の中や焚き火の明かりで読んだバイコフや畑正憲の小説のこと、
フェリーが出航したときの興奮、北海道では初めて見た透明で真っ青な海のこと
カレイをさばいて脇に置いたらカモメに半身持ち去られたこと、
ウニを採って食べたこと(漁師さんに持って帰らなきゃ好きなだけ食べて良いと言われたのです)
山ほどアメフラシを集めたこと、夜、海中から見上げた月が美しかったこと、
町民の寄付で運営する無料温泉で漁師さんとお話したこと、
民家にインスタント麺のお湯を貰いに行ったら、おばあちゃんにお昼をごちそうになったこと、
数年後、島が津波で壊滅的被害を受け、燃え盛る街の映像にショックを受けたこと、
高校の時、研修生だった先生が島の学校に赴任していたらしく
テレビのインタビューを受けていて驚いたことなどを話しました。

中山峠を過ぎ、喜茂別を抜けると広い丘陵地帯にまっすぐな道が走り、
いかにも北海道らしい開放的な風景が続きます。

「わ~、やっぱり羊蹄山は大きいね~」
「普段見ている山と違ってドーンと重量感がスゴイですね」
「何度見てもキレイな山だね」
「ナントカ富士の中では、一番近いんじゃないかと思います」

豊浦への看板が出てきました。この山を越えると海が見えてくるはずです。
肌寒いですが山間にも雪がなく、太平洋が近い事を思わせます。
下りに入り、大きくカーブをした所で海が見えました。
駐車スペースがあったので一休みです。さすがにまだ緑は見えませんが、
樹々はやわらかな赤味を帯びています。足元の小さな花壇にはチューリップの芽が出ていました。
自分で運転して初め望んだ太平洋。
日本海育ちのワタクシは、なんだか随分遠くに来た気持ちになりました。
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国道37号線を西へ走ります。時折、海が見えますが、カーブが多く交通量もあり、
ノンキに海を見ながらのドライブとはなりませんでした。
右折し、道々266号線に進みます。黒松内はまもなくです。
黒松内に近づくにつれ雪が増えて来ました。朱太川に沿って走ります。
「この川でも貝化石が出るんです。でも増水していて難しそうですね...」
わずかに見える河畔や露頭は、貝化石が出そうな雰囲気です。
「貝殻橋」なんて、気になる名前の橋も渡りました。
昨晩、ニワカ勉強してきた知識と周りの景色から推測した見解をRyoに話すと、
「えらいえらい」
と頭を撫でてくれ、ワタクシ、ちょっとテレました。
「イ、イヤ、本当にそうかは分かりませんよ~、カンで言っただけですから~(+∀+#;)はは」
「アタシも頭触ってみただけだから」
「くっ....(+∀+;)!!!」

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賀老橋を渡ると右手に黒松内層と思われる、立派な露頭が現れました。
近くに寄りたかったのですが、朱太川は滔々と流れ、渇水にならない限りキビシい様でした。
「こういう露頭をみるとテンション上がりますね~!!」
「なんか化石でないの?」
「ん~、貝化石はどうなんでしょう...。放散虫は出たと思います」
「ナニそれ...虫?」
「プランクトンの一種で、ほら、よく微化石の写真で出てくるアミアミのキレイなヤツですよ」
「顕微鏡で見るヤツ?」
「そうです。採取して行きますか?」
「ん~......今日はイラネ」

やっと黒松内市街に入りました。
「あ、セコマがあるよ(セイコーマート・道産コンビニ)お昼買ってこうよ」
「津々浦々、どこにでもあるので本当に助かりますね~(+∀+)」
駐車場でモグモグとおにぎりを頬張りながら、見たいポイントを再確認します。
黒松内川の支流「シェルの沢」「ミィディアムの沢」「マロンの沢」。
いずれも一部ですが瀬棚層があります。
そして、もちろんメインは「添い遂げられなかった川(涙)」です。
「近いので、南側から順に見て行きますか...」

ところが、黒松内は道がクニャクニャしていて、ワタクシの様な方向音痴にはハードルが高いのです。
行ったり来たり、元に戻ったり...。なかなか沢がみつかりません。
そして、ようやく見つけた沢たちは増水していたり、とても小さかったり、護岸されていたり、
農家の敷地内に進入しなければならなかったり...。

諦めて「添い遂げられなかった川(涙)」に行く事にしました。
道々523号線を北上。目的の川を渡ってすぐに左折し約1Kmの地点、
道路右脇に駐車出来そうなスペースがありました。
畑はまだ雪野原ですから作物を気にせず歩けます。
「さてさて、あるかな~?」
「増水してないとイイですけどね~」
「よしっ!! いくぞっ!!」
「はやっ(+∀+;)!?」
やる気満々のRyoは、あっと言う間に用意を終え、ウェーダーを小脇に抱えると、
雪原をサッサと渡り出しました。
「は~や~く~!!」
遠くからRyoの声がしますが、ワタクシはロープを用意したり大忙しです。
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東へまっすぐ150m程で川に着きます。増水はしていましたが、水深ははさほど無く、
岸が見えているので採取も大丈夫そうです。
既に灰色の地層には貝殻の破片が沢山見えています。
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「イッパイあるよ!!凄い凄い!!」
「潮干狩り云々は本当ですね...。キタヒロよりある感じです」
「それに、凄く状態がイイみたいだよ」
「こ~れは、期待できますね~(+∀+)!!」
二人、いそいそとウェーダーに着替え、ロープで降りました。
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「うっわ~!ホントに沢山あるね~!!」
Ryoは大はしゃぎです。早速ビニール袋を片手にガンガン掘り始めました。
水流はかなり強く、そのままでは対岸には渡れません。
しかし、運良く下流の方に倒木があり、掴まりながら渡りました。
「ほら~、ダイシャカニシキだよ。こんなにキレイ!!」
「やっぱり、キタヒロよりもずっと状態がイイですね。ナマナマしています。」
「あそこ、カッサカサなんだもんな~」
川岸はもちろん、川の中も貝殻の破片でイッパイです。
「ワタクシ、腕足類が欲しいですよね〜」
「キタヒロであれだから、きっとイイのがあるよ...。あ、アポロみっけ!!(カサガイ)」
「どうも合弁で出るのが多い様です、小パックにいれて持ち帰りましょう」
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2時間の採取で結構な数が採れ、二人、大満足です。
「なんだか、さっきより水の流れが強いみたい」
「午後になって雪融け水の量が増えたんでしょうね」
まだ日は高く、蘭越方面へも行きたかったのですが、
帰りの時間を考えると諦めざるをえませんでした。
朱太川へ戻り付近の様子を見てから帰ることにしました。

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川に近づけそうな道を見つけては入ってみますが、やはり、どこも増水していて採取不可能でした。
土手沿いの道から工事したばかりの砂利道が分岐していました。キャタピラで荒らされた
真新しい土の中に貝殻片が混ざっていました。
電柱のプレートにも「貝殻幹」と思わせぶりな文字...。
新しい道を進むと...真新しい施設とコンクリート製プールがあり、沢山の稚魚が泳いでいました。

帰りは激しい雨に降られ、中山峠であおられまくって泣き、
札幌市外に入ってからは消えた白線と、明かりに照らされた超絶見難い路面に泣き、
再びあおられて泣き、も~泣き泣き家に泣き帰りました~(+∀+;)。

深夜、Ryoはキッチンで貝を洗い始めました。
「イッパイとれたね~」
「大漁でしたね(+∀+)でも、今度行く時は、ツルハシがいるかもですね」
「一個ずつ採ると割れちゃうもんね」
「もろい地層ですが、密に入っているので殻が壊れやすかったです」
「沢山あるから、キレイなの選んで欲しいもんね」
「ワタクシは腕足類が出なかったのが残念です。絶対あるはずなんですけどね〜...」
「ねぇ、この茶色の貝キレイだよね~。ちゃんとしたのあんまり採れなかったけど」
「これは、ムカシオナガトリガイと言って、ダイシャカニシキ同様、絶滅種なんです」
「えっ!?....これ、絶滅種なの?」
「そうです」
「な~んで教えてくれなかったのよ~!!知ってたら、もっと一生懸命探したのに~!!」
「ひ~、スミマセン~(+∀+;)!!」
「今度は、コレを採りにいくぞっ!!!」

ムカシオナガトリガイ
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エゾボラの一種(?)
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ツキガイモドキ
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ナミマガシワモドキ
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イサオマルフミフミガイ
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エゾイガイ(合弁)
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エゾキンチャクガイ(合弁)
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by motoronron | 2012-09-19 12:45 | 道南 | Comments(6)
Commented by fossil1129 at 2012-09-19 22:31
第三紀や第四紀まで含めると
北海道はやっぱり化石王国です。

この記事と追加の写真記事を拝見してると
付着動物を含め、
それぞれの生き物の息吹を感じます。
普段、採集しないけれど、
新生代の化石も素敵だと思いました。
Commented by もとろん at 2012-09-19 22:41 x
fossil1129さん、おこんばんは〜(+∀+)!!
本当に仰る通りだと思います〜。微小化石や住み跡なんていうのも、面白いな〜と思っています。新生代の貝化石は現生種とさほど変わらないので、謎も少ないのでしょうけれど、生物の営みの不思議さ複雑さ深さは、いつの時代も一緒ですよね〜(+∀+)。
Commented by apogon2 at 2012-09-20 09:59 x
もとろんさんの巡検記、読んでいるとさも自分が現地に行って採っているような感覚になります^^。
中生代のアンモから新生代の貝化石まで本当に守備範囲が広いですね。ちなみに私は貝の名前は殆ど分かりませんが^^;、もとろんさんのブログで勉強することにします^^。
Commented by もとろんん at 2012-09-20 11:10 x
apogon2さん、どもです〜(+∀+)!!
もし、ワタクシのダラダラ文で、少しでも採取時の様子を感じて頂けたのなら、とってもウレシ〜です〜。ベテラン様には「わかるわかる!!」とか「なめてんな〜」と生暖かく楽しんで頂き、始めたばかりの方や未体験の方には「ワクワク・ドキドキ」「こんなんでイーなら自分にも出来そう」と思って頂ければ幸いです〜。
Commented by ZX9-R at 2012-09-20 21:16 x
こちらに巡検紀がありましたか。油断していました(笑) 化石の産上写真が凄いです。本当に潮干狩りみたいですね。これだけ保存が良く、いろいろ採れるなら自分も挑戦してみたくなりますね。私も貝の名前を勉強させてください。
Commented by もとろん at 2012-09-20 21:31 x
ZX9-Rさん、おこんばんは〜(+∀+)!!
あ〜、毎度、分かり難くて、失礼いたしました。一応、貝の名前も記載してみましたが、なにぶん、ワタクシめの調べですから、あまり信用なさらぬ様に〜(+∀+;)....。黒松内は安全簡単な採取で、バリエーションも多いですから、是非、お子様と御一緒に如何でしょか〜??