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化石のはなし

motoron.exblog.jp

北海道で化石採取をしている motoron と Ryoのブログです。

ときどき望来通信・Vol.3(+∀+)

11月16日

朝、雪が降りました。
例年に比べ、なかなか寒くならないので、のんびり構えていましたが、
さすがに望来の家庭菜園のブドウの雪囲いをし、ニンニクを植えなければなりません。
朝、出勤するRyoに「畑に行くんなら、モーライの海ちゃんと見て来てよ。アオイガイ来てるかもしれないんだから」と言われました。内心、さすがにもう無いのでは?と思いましたが、
畑からの帰り道、一応、寄ってみることにしました。

前回同様、正利冠川(まさりかっぷがわ)は南の方へ寄り
露頭の端を舐めている状態なので水の中を歩きます。
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三週間ぶりとあって様子は随分変わっていました。
波が大きく浜を洗ったらしく、崩落し崖下に溜まった土砂はすっかり無くなり、
流木は崖の真下へと押しやられていました。
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漂着物は少なく、アオイガイが落ちていればすぐに見つけられそうです。
まずは、波打ち際でメノウを拾います。
せわしなく目を動かしますが、白く目立つのは牡蠣の殻ばかり。
おまけに中身は全てカモメに食べられてしまった後です。
大きめのヒラツメガニを見つけましたが、これも残念な事に亡くなって久しい様です。
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化石も少なく、ノジュールを幾つか割ってみるも中身はイマイチです。
Ryoにめぼしいお土産を見つけてあげられず、残念に思いながら歩いていると
あっと言う間に無煙浜の方まで来てしまいました。折り返し、今度は崖寄りに歩きます。

潰れたウニがいくつか入っているノジュールを見つけましたが、
状態がイマイチなので放置しました。
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底にK.S.と刻印された小さな青い瓶を拾いました。割れているけれどキレイなものです。
顔を上げると、既に正利冠川河口のテトラポッドが近くに見えています。
「今日の収穫はこの瓶が一番かな...」と少し落胆しながら歩き始めました。
十歩も行かぬうちに、砂浜の真ん中に落ちている白い貝が目に入りました。
目の悪いワタクシでも、直感でなんであるか分かりました。
足早に駆寄ると、やはりアオイガイの破片でした。これが初対面です。
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何年も探してきて、ようやく出会う事ができました。
破片だとしても、やっぱり嬉しいです。
透ける程に薄くて軽く、それでいて独特なカサカサとした硬質な質感、
想像していた通りでした。
短い時間の散策でしたが、採集品に十分満足し、Ryoの喜ぶ顔を思ったり、
ブログになんて書こうか...と考えながら歩きました。

この日、テトラポッドの向うに流れる河口は浅く、注意すれば渡る事が出来そうでした。
長靴を迫り上がってくる水に注意しながら、つま先立ちで恐る恐る渡りきりました。
こちらのビーチは漂着物が少ない様です。遠くの方でサーフィンをしている二人組が見えました。
「寒くないのかな〜?」と思いながら、視線を波打ち際にやると
砂にまみれたアオイガイを見つけました。
遠目にも殻の中で持ち主が動いているのが分かりました。最も理想的な状態です。
殻の周囲にはカモメの足跡が残っており、千切れた細い足も落ちていました。
薄い殻から透けて赤味の強い体がうごめいているのが見えます。
何度か、水を勢い良く吐き出しました。
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動画を撮るため、海水で洗おうとすると、荒い波に持って行かれそうになり、
慌てて拾い上げました。逆さにすると、ズルリとだらしなく卵と本体が砂の上に落ちました。
その直後にやってきた大きな波に卵はさらわれてしまいましたが、
ずぶ濡れになりながら、どうにか殻と本体は守りました。
興奮で頬は少し火照っていました。

本体はホルマリン標本にしようと考え、一度、家に帰宅し印鑑などを持ち、
再び出かけました。一件目の大手チェーンの薬局ではホルマリンは扱っていないとのこと。
駅前の調剤薬局でも在庫無しでした。しかし、事情を話し出来るだけ早く入手したいと伝えると、
薬剤師のオネーサンは、近くの大学の薬局や問屋など、方々に問い合わせをしてくれ、
翌日一番で入荷する手はずをつけてくれました。

夜、駅にRyoを迎えに行きます。
少しでも驚かせようと、出来るだけそっけない態度で今日一日の話をします。
帰宅し「これが今日の収穫です」とテーブルの上のステンレスバットを指差しました。
Ryoはアオイガイの破片を見ると声を出して驚き、すっかり興奮しました。
「やっぱりキレイだね~!!」とか「やっと採れたか~!!」と、ひとしきり盛り上がった後、
「じつは...まだあるんです...(+∀+)」とキッチンへと連れて行き、
ザルに入った中身入りアオイガイを見せました。
「え〜っ!!スゴイじゃないですか!! あったんだ!!」
「中身も入ってますよ」
「ね〜! だから私言ったでしょ。今日はいるって!!」
Ryoの興奮は最高潮、思わずハイタッチです。
「ホント、言いつけ通り行って来て良かったです。この中身入りの方は正利冠川の向こう側で採ったんですよ」
「いつも、あっちには行かないのにね〜。呼ばれてたんじゃない?」
殻を逆さにして軟体部を出してみせます。
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「おぉ~! まさしくタコだね~!!」
「イカとタコの中間みたいな感じですね」
「そうだね~。肌の色と模様はイカっぽいもんね」
「浜で見つけた時は、もう少し赤っぽい色だったんですけど...」
「うすべったい殻の割に中身は大きいんだね」
「さらに卵も入っていますからね」
「ん〜、カワイイな~。このコが、こんなに繊細で複雑な殻を作るなんて不思議だね~」
「この足のヒダヒダからの分泌物で殻を作るそうですよ」
「へぇ〜、どうして、こういう模様を作れるんだろう?」
「本当に不思議ですよね。殻を作るのはメスだけなんです。ワタクシが見つけた時も卵がイッパイ入っていたんですが、波で流されてしまいました。まだ、殻の奥に少しだけ残っていますね」
「粒が小さいね」
「鮨ネタのタコの卵は大きいですもんね。これはタラコくらいでしょうか?」

「で、食べるの?」
「えっ...(+∀+;)。いや、今回はホルマリンに漬けて標本にしようかと...」
「そっか...。でも、足一本くらいイイんじゃない?」
「だ~め!! ただでさえ、カモメに突かれて傷だらけなんですから~」
イカタコ系が好物のRyoにとって、キッチンでザルに入った活タコは、
もはや新鮮な食材にしかみえない様です。

夕食後、急いでキッチンを片付け、作業開始です。
まず、Ryoに3.5%の食塩水を作ってもらい、隅々まで洗浄します。
溢れた砂と一緒に卵と短く切れた足も流れ出て来ました。
「わっ! 足取れちゃったんじゃない?」
「大丈夫です。切れた足が側に落ちていたので、殻に入れて来たんです」
「頭に穴あいてるよ」
「あ...ホントだ...(+∀+;)こうしてみると、けっこう喰われてボロボロですね」
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(ヒラヒラした足先部分で殻を作る様です)
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(計測してみると思ったよりも大きく40cm近くありました)

塩水に浸けると、すこし元気を取り戻したのか、足をクネクネさせます。
皮下であずき色の模様がランダムにうごめいて見えます。
よく観察すると、小さな斑点が順次拡大縮小することで模様が動いて見える様でした。
白い部分は真珠の様な光沢で角度によって虹色に輝きます。
「すっごくキレイだね〜」
「出来るなら飼ってみたいですね」
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少量の卵塊と千切れた足をバットに並べます。
Ryoは足を指先で突いています。
「お、まだ動いてる。色も変わるね...。ねぇ!これ指に吸い付くよ~!!おもしろ~い」
「その足は...標本にしないので、食べてもいいですよ(+∀+)。。。」
「やった!!」
「柔らかそうなので一度湯通ししてから、わさび醤油で頂きましょう」
「イイですね~(^ ^)」

茹でると奇麗な赤い色になりました。冷水でしめ、一本だけ小皿に盛ります。
「それでは....いただいてみましょう」
「いっただきま~す!」
まず、Ryoが食べました。
「どうですか?」
「ん、柔らかいな...吸盤のとこがショリショリする感じ」
「どれどれ...。なるほど...弾力が無いですね。ショリショリというよりシャクシャクかな?」
「淡いな〜」
「生臭みは無いですが、普通のタコやイカに比べると旨味が少ないですね。卵も食べてみましょう」
「プチプチはしてるね。少ないから味はよくわかんないな~....」
「でも、舌の上に残る感じは悪くないので、ある程度量を食べるとコクがあって美味しいかも。身も卵もクセが無いですね。鮨屋のタコの卵は噛むとドロンとしてあまりスキじゃないですが、アオイガイの卵は美味しい方なんじゃないでしょうか?」
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その夜、アオイガイは塩水に漬けられ、冷蔵庫で保管され。翌日、標本となったのでした...。
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はじめてのアオイガイ。色々な意味で堪能いたしました(+∀+)。。。
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by motoronron | 2012-11-19 18:14 | 石狩 | Comments(18)
Commented by アルビアン at 2012-11-19 19:06 x
こんばんは(^○^)、先ずは、おめでとうございます。頑張り諦めない、もとろんさん、さすがです。そして、しっかり標本に仕上げるなんて、素晴らしいです。画像も、私と違い綺麗で、落ち着きありますね、 食べた感想もバッチリですね、やはり、アンモナイトですねー、本日現在も漂着が続いてますね、パノラマ画像も良かったです。アオイガイを見つけた感動は、鳥肌です。持った感じで、軽々ですし、素晴らしい記事、Niceですよ(^○^)
Commented by fossil1129 at 2012-11-19 20:57
w(゜o゜)w
生アオイガイ、やりましたね!!
バット上の生写真(笑)、両手を合わせて拝見しました。
足先のヒラヒラ部分も見えて、感動です。
生きている頭足類は、本当に美しいのですが、
環境が変わるとすぐに死んでしまうのが残念です。
頭足類の得意技の色素胞の拡大収縮まで観察できて羨ましい限りです。

こうなれば、「ワイルドryoさんのことだから…」
と期待したとおり、
食しているので、心の底から拍手しました。
(^ρ^)よだれ
Commented by ZX9-R at 2012-11-19 22:59 x
つ、つ、ついにアオイガイをグッチョされましたね。おめでとうございます。本体は結構大きいというか、長いんですね。Ryoさんはやっぱり食べましたか~。流石ですよ。でも本体もしっかり保存されるとは流石はもとろんさんです。私だったら殻だけで、本体はポイしてきそうです(笑)
Commented by もーりん at 2012-11-19 23:59 x
タコブネに続いてアオイガイゲット、おめでとうございます。軟体部の画像も楽しませていただきました。これだけ心をこめた扱いにアオイガイも天国で喜んでいるのではないでしょうか。わたしも11日に初のアオイガイ採集を体験し、ビーチコーミングにもはまりそうになっています。
Commented by きこりん@北のほたるや at 2012-11-20 01:34 x
おめでとうございまっす♪
ついにゲット、羨ましい限りです。
私も行ってみようかと思いつつ、時間も経ち、もう漂着はないのでは?と思いつつ
化石やノジュールだけでもと一昨日行きかけましたが
午後スタートになりそうだったので諦めました^^;

A山の確認も含めて、近日中には行きたいところですが
何かとやることも多く、また、来客も頻繁で・・・

ちなみに、昔、釣った魚のはく製を作っていたことがありまして
その頃は、知り合いの病院関係者からホルマリンを分けてもらっていました。

あまり需要が無いので、扱っている薬局も少なくなっていますので
こういう時のためにも余分に購入しておくといいかもしれません^^

にしても
ワサビ醤油でとは「ワイルド」ですね~w

私もいつか、アオイガイ大量ゲットして
石膏で殻の型どりして、陶器で灯籠を作ってみたいです^^
Commented by もとろん at 2012-11-20 19:33 x
アルビアンさん、おこんばんは〜(+∀+)!!
「アオイガイ、ゲッチョ!!!!」言ってみたかったです〜(笑)アルビアンさんの様に沢山採取は出来ませんでしたが、そこはレベルの差...仕方がありません(+∀+;)。中身入りだったのが特に嬉しかったです〜。アンモも生きていてくれたら...面白かったのに、と思います。
Commented by もとろん at 2012-11-20 19:36 x
fossil1129さん、どもどもです〜(+∀+)!!!
やっとこ、やりましたよ〜(+∀+;)!!思えば長い道程でした。やはり、本物を目の当たりにすると、いろいろと気がつく事が多いです。頭足類は本当にキレイですね。生きている時のままで標本に出来ると良いのですが...いずれ、脱色されてしまうのでしょうか...。博物館のコキタナイ、ホルマリン標本は可哀想ですので、キレイに入れ替えして上げたいと思います。
Commented by もとろん at 2012-11-20 19:38 x
ZX9-Rさん、どっもでぃ〜〜す(+∀+)!!!
長いですよね...。殻の割に大きいものでした。はかってみてビックリでしたよ〜。拾った時は、カモメに襲われた後で、防御のためか、ぴっちり殻の中に入っていました。その後...ワタクシに襲われた訳ですが(+∀+;)。Ryoさん的には量が足りなかった様ですが、ま、次回ということで...(笑)。
Commented by もとろん at 2012-11-20 19:40 x
もーりんさん、まいどあぃ〜ん(+∀+)!!!
Ryoさんはタコブネ、ワタクシはな〜んにも採れないでいたので、ちょっとホッとしました〜(笑)アオイガイ、ペットにしたいくらい可愛かったのですが...実際は、食べられるわ、標本になるわで散々だったかと(+∀+;)。もーりんさんのアオイガイの記事も楽しみにしております〜。
Commented by もとろん at 2012-11-20 19:43 x
きこりんさん、こばちは〜(+∀+)!!!
きこりんさんは、めっさお忙しいので(笑)なかなか行く時間が無いかと思いますが〜、是非、アオイガイはゲッチョしてくださいね。超キレ〜ですよ〜(+∀+)!!化石はタイミングが良いと、イヤになる程いっぱい採れるです。アオイガイの灯籠、ステキですね。そだ、オウムガイを飼育された経験がおありなのですから、アオイガイも挑戦してみてくださいませ。
Commented by apogon2 at 2012-11-20 23:40 x
さすが、もとろんさん、Ryoさんですね。
しっかりアオイガイを研究なさって、そして味を調べ、最後に標本にするというのはまさに研究者並ですよ。
カモメに食べられそうになった時は絶望的な感じになったアオイガイ君(メスだから"さん"ですね)もこうしてもとろんさんに連れていかれて本望だったのではないかと思います。

パットの上のアオイガイ・・私も食材にしか見えませんでした(笑)。
Commented by きこりん@北のほたるや at 2012-11-21 01:31 x
今、海水魚&サンゴの水槽が2本あるのですが
この種のものを入れると
全部食われてしまうので勘弁してください^^;

私が忙しいというより、足が忙しいですw
Commented by もとろん at 2012-11-21 10:42 x
きこりんさん、おはろ〜ございます〜(+∀+)。
いろいろ飼育されているのですね。海水系はさらに難しいイメージがあります。憧れはありますが〜。磯の生き物をそのまま飼育したいです(+∀+)。
Commented by もとろん at 2012-11-21 10:52 x
apogon2さん、おっぱろ〜ごじゃります〜(+∀+)!!!
結局、ちょっぴり食べちゃいました〜(笑)少なくて、味は...??でしたが...。次回は美味しく頂きます。アオイガイレシピ公開?そういえば、イモートさんにメールを送った時も「美味しそう...(θ∀θ;)?」って返信して来ました。日本人ですね。
Commented by きこりん@北のほたるや at 2012-11-22 10:35 x
私の場合、東埠頭で海水をポリタンク4本に詰めて水替えに使用しています^^

それ以外の飼育環境は、サンゴが入っているので多少複雑ですが
現地採取ものだけの飼育であれば
外掛けのフィルターを取り付け
水位が下がったら水道水を足すか
一ヶ月に1~3回ほど水槽の3分の1ぐらいの水替えをするだけです^^

夏場の水温上昇以外は心配事も無く
ヒーターも必要とせず
できるだけ涼しくしておけばいいだけです^^

是非、お試しください♪

詳しくは
水域の小径
オオウミウマとソフトコーラルとナチュラルライフ
http://blog.livedoor.jp/kitanohotaruya-suiiki/
Commented by もとろん at 2012-11-22 15:00 x
きこりんさん、まいどあい〜ん(+∀+)!!
思ったよりも簡単なのですね。。。な、わけないですよね〜(+∀+;)。難しいと評判らしいタツノオトシゴまで飼育されているきこりんさんだから、みんな元気にスクスク育っているのだと思います〜。サンゴも不思議造形で美しいものですね〜。おありがとうございました(+∀+)。
Commented by at 2013-11-04 16:45 x
やってることが残酷。

Commented by もとろん at 2013-11-04 20:39 x
。さん、いらっさ〜い(+∀+)!!
そーなんです!! 生きるって食べるって美味しーってザンコクでグログロなんです〜(+∀+)!!ぐはっ!! しか〜も…ワタクシ達は化石という動物の死骸を沢山集めて楽しんでいる大変態なのです〜(+∀+;)!!ぐはっ!! ですからして生アオイガイくらい何匹でも食べまるす〜(+∀+)!! ぱくばく。。。 今さら気付きましたが…最近流行のミョ〜な誘導CMではなかったのですね(+∀+;)。え〜と…え〜と…(汗)。ま、そゆコトで〜す♪