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化石のはなし

motoron.exblog.jp

北海道で化石採取をしている motoron と Ryoのブログです。

今金・中里・巨大フジツボを探しに

2012年 4月下旬

恒例の黒松内・添別での化石採集を計画したワタクシたち。
メインのミッションはムカシオナガトリガイの完品を入手する事でしたが、
折角、遠方へ行くのですから新地開拓をしなければなりません。
いくつか候補地をあげ、産地と思しき場所をグーグルマップにプロットし、
メモを書き込み、印刷すると同時にRyoのiPadへデータを転送します。
これでカーナビもいりませんし、道中慌てて地図を繰る必要もなくなります。

今回は、黒松内よりもさらに南、今金町まで行く事にしました。
「今金では巨大フジツボがでるそうですよ(+∀+)」
「それイイね!!フジツボ大好き」

1時頃、黒松内での採取を終え、おにぎりを頬張りながら道順を確認します。
「今金って、すぐ側だね」
「ん〜、地図で見ると近いのですが、片道1時間半はかかるはずですよ」
「そっか〜、じゃ、あんまり時間無いね」
「ええ、見たい所が4つあるのですが、とても全部はムリですね」
「アタシはまた明日来てもイイのよ。あげイモ食べたいし」
「それはムリ....往復10時間以上もかかるんですから〜(+∀+;)中山峠コワイし...」

道々9号線を南下し、国道5号線で長万部へ。
「再び太平洋に出て来ましたね〜」
「長万部って前に来たね」
「JRの"一日フリーきっぷ"を使って旅をした時です。2006年の冬でした」
「もう、6年ちかく前か〜」
「あ! この松の防風林、見覚えありますね(+∀+)」
「そうだ!! この間を抜けて海を見に来たんだよね」
「あの頃は、こんな風に化石を採るために来るなんて思いもしませんでしたね」
「ホントだよ〜。新十津川も夕張も....全部そうだね。免許取って良かったね」

国縫(くんぬい)で右折、国道230号線で今金へ向かいます。
ピリカ湖(美利河ダム)の横を通り過ぎます。
「ここでは30年前のダム工事の際、ピリカカイギュウの化石が出たそうです」
「ジュゴンみたいのか」
「そうです、出たのは頭から胸辺りまでですが、復元すると8m以上とか...」
「へ〜! そんな大きいんだ〜」
「ジュゴンは3mほどでしょうから、倍以上あったんですね」
「実物をみたかったね」
「さて、もうすぐ目的地です。シリベシトシベツ川沿いの露頭に化石があります」
「シリベソベシベツガワ?」
「いえ、シリベシトシベツガワ、です」
「シリ、ベ、ツ、ベシベ、ツベシ、ガワ....?」
「うわ〜、あんまりヘンな言い方しないで下さい。ワタクシまで間違えて覚えそうです(+∀+;)」
「全然わかんない。北海道の地名って難しいよね」
「殆ど外国語ですものね(笑)」

旧道沿いの花石郵便局の前を過ぎ、花石橋を渡り、しばらく行くと目的地です。
排水を兼ねた小さな沢がやや深い所を流れています。
残雪があるので降りるのは楽です。夏は笹薮を漕がなければならないでしょう。
それでも何度か雪下に出来た空洞に足をとられたり、腰まではまったりました。
川を覆う厚い雪を崩しながら後志利別川(しりべしとしべつがわ)との合流へ向かいます。
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「あ、あの上の方、露頭が見えますよ(+∀+)」
「何かありそう?」
「ここから化石は見えませんが、クロスラミナが見えます」
「それなんだっけ?」
「斜交葉理ともいって、水流の方向が頻繁に変化する状態で砂等が堆積して出来る層です。北広島市の公民館のホールに地層をはぎ取ったものが展示してあったでしょう?」
「あ〜、スズメバチの巣みたいの?」
「(笑)そうです」
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崖に雪の足場を作りながら徐々に斜め上へ登って行きます。
「どう?ある?」
「あ...ホタテ系の破片が入っていますね」
「壊れちゃってるね...。こっちのは、なんだろ?二枚貝の破片かな?」
「もっと上にイッパイ入っているみたいです。登りましょう」

結構な高さがあるため、雪が無いとこの位置まで登るのは難しいかもしれません。
「あ〜、ありますあります(+∀+;)!!た〜くさんあります」
みっちりと堆積した中にホタテの化石が数えきれない程入っていました。
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「さっき、Ryoさんが二枚貝の一部と言ったのはフジツボの欠片みたいですね。同じものが大量に入っています」
「え〜?コレ、フジツボなの?すっごい大きいじゃん」
「ですから〜....ココのフジツボはジャンボなんですってば(+∀+)!!」
「ホタテの仲間は、オーロラニシキというやつだと思います」
ふたり、ここからは黙々と採取します。大好きなイトカケやタマガイも出て来ました。
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「ね〜、フジツボちゃんとしたの出てこないんだけど〜」
「基本的に死ぬとバラバラになりやすいですからね...。ワタクシもいくつか筒状になっているのを取り出そうとしたんですが、意外に脆くて結局バラバラになってしまうんです(+∀+;)」
どうにかひとつ取り出しましたが、欠片からするとこのフジツボでも小さいサイズの様です。
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わずか一時間で袋が重くなるほど化石が採れました。
「黒松内に比べて種類は少ないようですが相当な量ですね...。Ryoさん、もうオーロラニシキは採らなくてイイですよ。後で大変なコトになりそうです(笑)では裏側の後志利別川を見に行きましょう」
「え〜、川は見なくていいよ〜」
「ま、ま、そう言わずに、真裏ですから」
今日は早朝からの活動で、さすがにRyoも疲れて来た様です。

倒木を乗り越え雪の斜面を登ったり降りたり...短い距離とは言えなかなか大変です。
しばらくして、急に目の前が明るく開けました。
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「随分、大きな川だったんだね〜」
「ほら、Ryoさん、右側を見て下さい。クロスラミナの大露頭ですよ」
「おぉ〜キレイ」
↓この写真は、ちょっと大きくなります。
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「今、ワタクシたちが立っているのは黒松内層で500万年前、あの露頭はさっき化石を採取したのと同じ瀬棚層で120万年前だそうです。
「随分時代が違うんだ」
「あの下へ行ってみましょう」
傾斜があり滑って危険なので川の中を歩きます。
露頭の端に辿り着いたところで、とうとうRyoの気力が途切れてしまいました。
「アタシ、ココで採ってるから先へ行って来てイイよ...」
そう言うと、ぺたんと座り込んで穴を掘り始めました。
ワタクシは露頭にへばりつきフジツボを求め上へ下へ、行ける所まで進みました。
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裏側の露頭同様、フジツボとオーロラニシキが大量に入っています。
時折、サンドパイプの様なものもありました。

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崖に抱きついたワタクシのすぐ目の前にあるクロスラミナは、イキイキと水の踊った様が鮮やかです。
無機的な物理現象の繰り返しが織り上げた精妙な文様はひとつの完成された美だと思いました。

崖下に降りてみると川底は大量のフジツボの殻で埋め尽くされていました。
冷たく澄んだ雪解け水に磨かれ、斜光に輝く太古の遺骸、こちらも大変美しいものに見えました。
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戻る途中、枯草の上に比較的状態の良いフジツボが落ちていました。
「Ryoさ〜ん、大丈夫ですか?」
「フジツボ採ったよ」
「結構大きいじゃないですか、今、ワタクシもそこで一個拾いました」
「大きいフジツボって聞いてたけどさ、こんなに大きいなんて思わなかったな〜」
「ね、来て良かったでしょ〜(+∀+)?」
「うん、良かった」
「さ、無事、目的のモノをゲット出来ましたし、帰りましょうか」
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4時過ぎ、夕日を背に受け今金を出発しました。
「本当は、少し先にマキヤマ・チタニイの出る所があるので、なんとか、そこまでは行きたかったんですよね...」
「たしか、近くにメノウが出る所もあったよね?」
「それは、正にこのあたりです(笑)瑪瑙橋という橋もありますよ。さ、疲れたでしょう?お家に着くのは9時半の予定です。あとはゆっくり眠って下さい」
「アタシあんまり採れなかったけどさ、本当にイイ所だったね。来年も来ようね」
「ええ、きっと来ましょう」
「もっと大きなフジツボ採るぞっ!!」
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by motoronron | 2013-02-18 20:33 | 道南 | Comments(10)
Commented by アルビアン at 2013-02-18 20:48 x
こんばんは(^○^)、もとろんさん、わたしも思いだします。なんか、ありがとうございました、クロスラミナは道南では、凄く素晴らしい地層が目立ちますね、フジツボの大きいのは、やはり、狙いますね、八雲でも産出しますね、もとろんさんは、北海道の化石産地を、じっくり味わってますから、これは、素晴らしい事ですね、採集される化石達も、喜びます。わたしも、眠りから帰り、再び、道南を歩きたくなりました~画像も素晴らしいですよ(^○^)
Commented by fossil1129 at 2013-02-18 22:00
マキヤマ・チタニイ、私も採ってみたい化石です。
針骨だけでなく、少しでも外形の分かるものがほしいです。

ギガント・フジツボは、露頭から取り出すより、
落ちているものの方がキレイかもしれませんね。
Commented by apogon2 at 2013-02-18 22:27 x
本当に綺麗なクロスラミナですね。素晴らしい産地です。
大量のフジツボが川底に埋め尽くされている写真、これは海岸みたいに見えますね。
Commented by P at 2013-02-18 22:46 x
毎回そうなんですけど、女の人でここまで気合いと根性!?がある人と出会ったことが
ありません。今までいろいろな化石関係の人たちと出会ったのですが・・・。
Ryoさん凄すぎです!!
Commented by もとろん at 2013-02-19 10:08 x
アルビアンさん、どぅもどえす〜(+∀+)!!
アルビアンさんの庭のひとつと言っても過言ではない道南です〜(笑)距離もあるためワタクシたちはあまり行けていませんが、まだまだ未チェックのところが一杯ですから、これからも通いたいと思っています〜(+∀+)!!クロスラミナを目の前数センチで見る事が出来たのは嬉しかったです。砂の一粒一粒がキラキラ輝きと当時の水底の動きを思わせました〜。
Commented by もとろん at 2013-02-19 10:19 x
fossil1129さん、どっもで〜す(+∀+)!!
マキヤマさん、地味化石ですが、なんとなく気になる化石ですよね(笑)もにょもにょした感じのと、長めのシュッとしたのが欲しいです。Ryoさんはマカロニの化石と言っています。ギガツボさんは、大きくて長い殻が地層の中にそれはそれは....恐ろしい程沢山入っているのです。しかし、まるっとしたコは殆どいません。
Commented by もとろん at 2013-02-19 10:37 x
apogon2さん、ども〜(+∀+)!!!とどどどどど!!!
クロスラミナの模様は美しいものでした。ココまで大きいと感動的です。北広島の方にもあったそうですが、殆どが工事等で消滅してしまったそうです(涙)。ワタクシは地層マニアではないのですが、この美しさには魅せられました。川縁にテントを張って朝夕眺めながら食事をしたいです〜(+∀+)。
Commented by もとろん at 2013-02-19 10:49 x
Pさん、まいどあぃ〜(+∀+)んんんんどえす!!
ワタクシが言うのもなんですが...(+∀+;)Ryoさん、本当によく付き合ってくれると思います。皆様ほどハードな事はしていないとは言え(ハードだとワタクシがもたない)これまで、アウトドアの類いをした事無い人なのでスゴイな〜と思います。クリーニングも決して上手ではないですが、部屋にこもったら最後、ご飯が出来るまで出て来ません(笑)。
Commented by こんばんは。 at 2013-02-19 22:15 x
週末の遊び疲れで、ブログチェックを怠っていたところ、たいへんなことになっているではありませんか。(^_^;)
今金には瑪瑙探しにも行ってみたいです。
今晩と明日じっくっり、モトロンワールドに浸ります。(^_^)
Commented by もとろん at 2013-02-19 23:29 x
こんばんは。さん、こんばんは〜(+∀+)....。。。
ん〜、もーりんさんでしょか〜??もしも違ったらゴメンゴナサイです〜。今金イイところでした〜。ワタクシたちが採取したのは極々一部、次回行った際には更に収穫が多いと嬉しいです。沢山の情報を皆様にお伝えしたいと思いますです〜(+∀+)。