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化石のはなし

motoron.exblog.jp

北海道で化石採取をしている motoron と Ryoのブログです。

新十津川・徳富川・雪解けの頃に

2011年 4月上旬

お休みの日は、いつだって遅い朝食ですが、この日は特にのんびり、
ふたりで窓の外の残雪を愛でていました...。

「昨日のモーライは最高だったね~」
「ええ、潮は引いていましたし、お天気も良くって...(+∀+)」
「で、今日はどうする?」
「(笑)連日ですけど、体は大丈夫ですか?」
「ぜ~んぜんヘーキだよ。こんなお天気イイんだからさ、どっか行こうよ!!」
「じゃあ近場にしましょう。...当別川はまだ雪が多いでしょうし。久しぶりに徳富川(とっぷがわ)はどうですか?」
「ん~...ま、いっか...。じゃ、もうすぐお昼になっちゃうから、すぐ出発しよう!!」
Ryoは大きめのバッグにお菓子をどっさり放り込み、熱い珈琲を魔法瓶にトポトポ詰めました。

国道275号線を北上します。道路沿いの雪はすっかり解け、
露出したアスファルトと粉塵の汚れが日射を受け、さらに雪を溶かします。
助手席では御機嫌でRyoがモリモリとお菓子を食べ、
時折、思い出した様にワタクシの口にも入れて来ます。
「高い山はまだ真っ白だ~」
「登山はイヤですが、あそこがどんな風かは見てみたいですね~(+∀+)」

学園にある峠の側にやって来ました。
ここは沼田でタカハシホタテを採取した帰り道、初めて徳富川に降りた場所でもあります。
Ryoはやる気満々、あっと言う間に着替え、一人で雪の斜面を降りて行きます。
「Ryoさ~ん!!!足元に気をつけて下さいね~! 下が空洞になっていることがありますからね~!!」
ワタクシをチラと一瞥しドンドン降りて行きました。
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「ネコヤナギがすっかり膨らんでキレイですね。銀色に光って玉の様に見えますよ」
「雪はどっさり残ってるけど春だもんね」
「山の色もほんのりピンクがかってきた気がします」
空気はまだまだ冷めたくとも頬にあたる日光はたしかに春の光です。

「川の水は思ったよりも少ないですね」
「地面も結構出てるよ。これなら化石採れるね」
「さて...どうやって降りましょうかね...」
積雪でスロープは隠れ、結構な落差です。
「Ryoさん、雪庇(せっぴ)の様になっているので、あまり端に行かないで下さいね。落っこちちゃいますよ」
結局、どこまで行っても低い場所がみつからずロープで降りました。

「さあ~、今日は何があるかな~!?」
今にも駆け出しそうな意気込みをRyoの声に感じました。
早速、大きな岩に二枚貝の断面が入ってるのを見つけました。
「前に来た時、こんなのあったっけ?」
「ん~、さすがにこの大きさは見逃さないでしょう。流されて来たのかもしれません。帰りに採取しましょう」
「アタシ上の方見てくるから、反対の方見て来てよね」
「了解で~す(+∀+)」
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Ryoは泥岩に埋まった化石をタガネを使って掘っている様です。
ワタクシはノジュールを探し集めてきて、片っ端から割ってゆきます。
徳富川のノジュールや岩は一見当別川のそれと似ていますが、いくらか割り易い様です。
化石の含有率はほぼ100%と優秀でしたが、さすがに完全体の採取は難しいです。
地質図によると、橋を境に下流数百mは鮮新世・幌加尾白利加層(ほろかおしらりかそう)、
上流は中新世・増毛層(ましけそう)~徳富層(とっぷそう)と1km程続く様です。
ウニが入っていましたが、残念ながら保存状態が悪いです。
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こちらはタカハシホタテです。
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驚く様な化石はあまり出ませんが、相変わらず種類は豊富です。
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ハンマーを勢い良く振るっていると、すぐに汗が吹き出して来ました。
フリースだけになり、胸のジッパーを全開にし、雪の上に腰を下ろして一休みしました。
辺りを見回していると、上流の山の方から流れに沿ってゆったりと大きな風が吹き、
無機的...有機的...それぞれが混在した春の香りを運んで来ました。
どちらかといえば、水や氷や石といった無機質な香りが好きなワタクシですが、
やはり春の風の匂いは、心を妙にざわつかせるものでした。
ワタクシの後ろにはオルメカの巨顔石彫を思わせる赤褐色の巨岩が山から突出しています。
そこだけが周りとは全く岩質が違い火山性の様です。
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しばらく採取した後、Ryoのところへ戻り、降りてすぐに見つけた二枚貝を取り出しにかかります。
「大きいね、ナミガイかな?」
「殻が閉じている様ですし、殻の厚さもあるので違う貝だと思います。さ、割りますよ、気をつけて下さいね...」
大ハンマーを数回叩き付けます。バラバラになった岩から貝が転がり出ました。
「あれ~?これってさ...もしかして?」
「ええ...間違いないですね(+∀+;)」
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中から出て来たのはオウナガイでした。ここで採取するのは初めてでしたし、
これまで、オウナガイはもっと深い所に棲息していると考えていたので、この時は意外に思いました。
「当別川でも出るよね」
「ごく一部に密集して地層から出ますよね。徳富川でも出るなんてイイ発見です」
目に付く化石はほぼ採取したので、文字通り河岸を変え上流へ。
川縁の畑では燻炭融雪剤を撒いた模様が楽しいです。
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徳富川上流、キャンプ場近く「夢イッパイの橋」にやって来ました。
川縁に中新世・増毛層が露出しています。
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「ここは、増水してて勢いがあるね」
「雪も多いですね。少しでも露出してるといいのですが...」
「大分、薄暗くなって来たので、パパッと見ましょう。わわっ(+∀+;)!!!!足の下に空洞があります。気をつけて下さい」
「結構、深いね~。なんか動物いないかな~...?」Ryoはワタクシが踏み抜いた穴を覗き込みました。

「少し上流の方に地層が見えます。行ってみましょう」
足元に気をつけながら、少しずつ慎重に進みます。
「あ、二枚貝みっけ」
Ryoが崩れ落ちた泥岩の中からイシカゲガイを拾いました。
「こちらの大きな岩にもビッシリ入ってますね」
「でも、それダメな石なんだよ。硬くって全然採れないんだもん」
「ええ、特にこの薄茶色のがキンキンなんですよね。それにこの大きさじゃ大ハンマーで割るのも難しいです。大きめの巻貝も見えているのに残念です...」
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Ryoは主に泥岩層からの掘り出し、ワタクシはノジュールも割ります。
大部分が雪の下ですので多くは採取出来ませんでしたが、
雪中採取としてはまあまあでした。
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「Ryoさ~ん、どうでしたか~(+∀+)?」
「ん~、状態はイマイチだけど採ったよ」
「そろそろ日没です。帰りましょう」
「うん。楽しかったね。アタシお腹すいちゃった」
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ツヤツヤの夕日が徳富岳の向うへ落ちてゆきます。楽しい早春の徳富川でした。
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by motoronron | 2013-02-23 21:23 | 新十津川 | Comments(12)
Commented by P at 2013-02-23 22:24 x
またまた雪の中を・・・。でも楽しそうですね。
結構ハードなフィールドワークでも、ちゃんとブツが採れて楽しければ大満足!!
自分は毎回同じ人と行くわけではないのです。一緒に行って楽しい人が最高です。
Commented by アルビアン at 2013-02-23 22:45 x
こんばんは(^.^) ラストの画像、感動しました~凄く綺麗です。私は、かなり前に、この川の名前を、トクトミカワと言って、笑われました~ 画像から回想してしまい、懐かしいアタックを思い出しました、河原近くで、山葡萄をとったりしました、オウナガイは素晴らしいですね、私は、今まで、北竜の竜西産のオウナガイが最大でした、あまりのサイズにビックリでした、また、ヒタチオビガイも竜西が最大でした、増毛層も、地域で個体差がありますね、調査で、ツキヒガイを調べた時に、クモヒトデの多産層を、徳富川で発見しました、川底近くで、採集に苦労しました、迫り来る季節の風、好きです
Commented by もとろん at 2013-02-24 11:30 x
Pさん、どぅもにちは〜(+∀+)!!!
冬の川は最高なのですが〜、化石様が見えないという根本的な問題が...(+∀+;)この日はイロイロ採れた上、新しい発見もあって凄く嬉しかったです〜。探検は気の合う人とじゃないと疲れるだけでなく、そのまま危険につながる事もあると思うです。Ryoさんはワタクシより何かと勘が良く、感情のアップダウンも少ないので、精神的に助かります〜(+∀+)。
Commented by もとろん at 2013-02-24 11:37 x
アルビアンさん、どもどもなのです〜(+∀+)!!!
トクトミガワ(笑)絶対そう読むとと思います。と言いますか、そっちが普通ですよね〜??道外の方も読まれるこのブログ、難読地名には出来る限りルビを振ろうと思っております。徳富川はアルビアンさんがお詳しい産地ですよね〜。オウナガイはやっぱしでるですか〜。ワタクシがゲッチョした最大はたぶん当別産です〜。今、三笠の博物館のK先生が詳しく調査中の様ですので今後が楽しみです。クモヒトデ、この川で今、一番ほっし〜化石です(+∀+)いつか出会えるのが楽しみです。
Commented by はにわ at 2013-02-24 17:03 x
雪の中ガンガンアタックされとりますね
貝化石の種類が豊富だとおもしろいと思います。タカハシ様がでるから楽しいでしょうね
ウニはこれはクリーニング不可ですね、残念です
ところで夢いっぱい橋ってなんでしょう?
最後の夕日は素敵ですよ。ナイスな写真です
Commented by もとろん at 2013-02-24 17:20 x
はにわさん、どもばんはわわわ〜ん(+∀+)!!
雪がありますが〜、これは「春」ですよ〜(笑)ワタクシのMOS規格では、この雪は「冬」のものとは認められません。どの産地でもそうですが、やはり種類が多いと楽しいですよね〜。タカハシさんは沼田のよりも小さいのが多い気がします。夢イッパイの橋(笑)記事をお読みになった方が、現地に行くと、すぐに分かる様な安直ヒントなのです。
Commented by ZX9-R at 2013-02-24 20:40 x
私の巡検はいつも早朝の1~2時起き(真夜中?)なので、お昼出発巡検は羨ましいです(笑)
産地の写真もいいですね~。割りたての化石ってどうしてこんなに美しいのでしょうか?
最後の夕日の写真は秀逸です。やはり春と秋の夕日は美しいですね。
Commented by Macrowavecat at 2013-02-24 20:52 x
今回のお話、なんとなく童話のような神話のような物語を読んでるような不思議な感覚がありました。もとろんさんの体験が昇華されているからなんでしょうかねぇ。それはともかく、春が待ち遠しいですね。
Commented by fossil1129 at 2013-02-24 22:24
ryoさんが雪の斜面を
下りていく画像と上っていく画像が対になっていて印象的ですね。

私も「とくとみがわ」と読んでましたが、
「とっぷがわ」なんですね(笑)
Commented by motoronron at 2013-02-25 00:37
ZX9-Rさん、おこんばんつわ(+∀+)!!
そ、それは....早朝ではなく完全に深夜ですね(汗)。普段、その時間が寝る時間のワタクシにはとてもマネが出来ません。初山別や浦河などへ行く際、5時出発で、も〜体調ガタガタです〜(+∀+;)。割りたての化石が一番美しいですよね〜同感です〜。あのままの美しさを保って欲しいものです。色がみるみる変わる化石もありますよね〜(+∀+;)。あれ、めっさショックです〜。
Commented by motoronron at 2013-02-25 00:37
Macrowavecatさん、おこここここばんちわわわわ(+∀+)!!
なんかゴイスな褒め言葉を賜りまくりまろ〜(+∀+;)おありがとうございます〜。ワタクシの文章はさておき、化石って、そういった世界にピッタリだとは思います。化石の絵本も出ている様ですが、夢とロマンがたっぷしの世界なのですから、もっと×2沢山あっていいと思います。
Commented by motoronron at 2013-02-25 00:37
fossil1129さん、どもばんてぃわ(+∀+)!!
ビカリア採取、めっさ裏山Cでした〜。次回の記事が楽しみです。あ、Ryoさんの写真、気付かれましたか〜(+∀+)。いつも、写真の枚数制限がなければ、写真の流れももう少しマシに組み立てられるのに...とか思っていますが、ワタクシの書き方が、根本的にブログというスタイルを無視しているのでしょね〜(+∀+;)。