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化石のはなし

motoron.exblog.jp

北海道で化石採取をしている motoron と Ryoのブログです。

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久しぶりに九州からRyoが帰ってきました...が、お休みは2日間だけ。

「モーライ行こ!モーライ!!」Ryoは朝から張り切っています。
ワタクシは、望来も良いけれど古譚(こたん)より北に続く厚田層(あつたそう)も
見たいな~と考えながら地質図を眺めていました。
ついでに自分のブログをチェックしたところ、新たなコメントがありました。
「ん、珍しい...新規のお客様ですね~(+∀+).... えっ!? 厚田?カニ!?」
慌てて過去の記事をチェック。そして、アストリアスさんがお書きになったコメントに驚愕!!
「カニ化石がたくさんある崖を知ってますよ」テンション激上がりMAX!!!
「Ryoさ~ん!!安瀬(やそすけ)の崖でカニがイッパイ出るんですって~(+∀+;)!!」
「ヤスケソ....どこそれ?」
「ヤソスケです。厚田の少し北です。厚田層と思いますが、同じ層でも古譚ではカニって採ってないでしょ?」
「モーライのぴかぴかカニみたいのが出るのかな?」
「それは分からないのですが "たくさん" だそうですよ。今日は予定を変更して安瀬に行きましょう」
「よしっ!!カニ採るぞっ!!」
「では、ワタクシは駐車場所や脇道を探しますので、引き続き準備よろしくです」
「了解!!」

googleマップや地形図を見る限り、海岸へ続く道は見当たりません。
かと言って、厚田漁港に駐車して歩くのも難しそうですし、怒られたくありません。
「ど~お、分かった?」
「ん~、思ったよりアクセスが難しそうです。幌内川の砂防ダムへの道は今時期ですと雪の下でしょうし、道路脇に適当な場所があれば良いですが...」
「冬だからね〜。とりあえず行ってみて、だね」
「そうですね...。さて採取ポイントです。厚田出身のアストリアスさんが "安瀬" というのですから、おそらく厚田寄りの大きな露頭ではないでしょう。もちろん、ここも同じ厚田層ですから出る可能性はあります。そして、国道231号線が海と沿いはじめる辺りから先は安山岩の安瀬層で化石は出ません。航空地図を見ると地質図の作製された昭和30年代とは道も変わっている様ですね。おそらく最北の薄い厚田層は道路工事でもう無いと思います。今回チェックする範囲は、幌内川~国道が海に寄り始める手前までです。全て歩ける距離ですが、やたらテトラポッドが多いのが気になります。この青い屋根の家までの間で降りる場所を探しましょう。幌内川を過ぎてから目立つ谷が少なくとも3つ、これらも露頭がある可能性があります」

その後、ストリートビューを使いバーチャルで国道をトコトコ歩き回ります。
「この画像、残雪があるので春ですね。やはり北側はこのワンコのいる辺りまでですね。途中、山菜採りと思しき車が駐車しています。谷からは海へ降りられそうです。それでは...張り切って行って参りましょう(+∀+)!!」
アストリアスさんにお返事を書き、すぐに出発しました。

厚田公園の入口を過ぎました。
「もう少しすると、幌内川と交差するあたりで、道が大きくカーブします」
「あ...止められそうな場所あったのに〜、ユンボがいるよ」
「今回はここは諦めましょう」
「谷は?」
「ん〜、雪があると停車出来ませんね。民家前はいやだし...。あぁ、道が海に近付いています。そろそろ厚田層の最終ポイントですね。仕方がありません、あのワンコハウスの前に止めましょう」
先程、ストリートビューで見たワンコがワタクシたちの動向を胡散臭い顔で見ています。

Ryoが準備をしている間に斜面の状態をチェックします。
「Ryoさ〜ん、この斜面は急ですけど、なんとか降りられます。風が強いので気をつけて下さいね」
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「おやおや、下はテトラだらけだね〜」
「今日は時間があまりないので、全部は見る事が出来ません。何度も通いましょうね」
「どんなのが出るか楽しみだね〜」
「seaamberさんが古譚で拾ったヒタチオビも厚田層からと思っているんです。望来とは少しでも違った化石が出ると嬉しいですね」
下へ降りてみると安山岩の石原でした。ノジュールは見当たりません。
また、ビーチコーミングする程ゴミも多くありません。
思った通り、浜益方面はすぐに護岸がしてあり、厚田層の露頭は消滅していました。
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厚田方面へ向かって歩き始めました。
最初に見つけたノジュールからは植物化石が出ました。
波打ち際に大きなメノウが埋もれているのを見つけました。
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「Ryoさ〜ん、ほら、メノウですよ」
「でかっ!!それ、メノウなの?石じゃん」
「こっちの方は、この位のサイズがよくあるんですよ。もっと大きいのもありますよ」
以後、見つけたものは全て厚田特有のゴツゴツした大きなサイズばかりでした。

キララガイの鉸歯が覗く4cmほどの小さなノジュールを拾いました。
しばらくしてRyoも何か入っていそうなノジュールを拾いました。
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「あんましノジュールないね〜」
「う〜ん、お日柄もありますし...」
「テトラもあるしな〜」
「これでは更新が遅そうですね。ま、あまりカニにばかりこだわらず、新地ですから、よく観察して歩きましょう。この辺りの露頭からは、いろんな化石が出るんですから」
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しばらくしてテトラに行く手を阻まれてしまいました。
Ryoのサポートをしながら、ゆっくり、ひとつずつ乗り越えて行きます。
すこし歩いてまたテトラ道...。今度は長いので歩き通すのは大変そうです。
「左手の雪の斜面にあがりましょう。とりあえず登るところを作ってきますね」
隠れたテトラの隙間に嵌る危険があるので、用心深く雪を掘り階段を作ります。
行く手に二階建ての小屋が見えました。無塗装の木製の外壁、常時使っている様で奇麗なものです。
小屋の手前に簡易の船着き場があり、その先は、またテトラが続いています。

Ryoがコーヒーを飲んで休んでいる間、ワタクシはテトラを越えて先の様子を探ります。
小さな露頭が見えていますが、海藻に覆われて滑るテトラを越えて行くのは難しい様です。
小屋の土台から露頭の上部へ取り付く事は、なんとか出来そうでした。
ちょっと失礼して、小屋の脇を過ぎます。露頭に足を掛けた時、
二階の窓に安楽椅子の高い背がちらりと見えました。どうやら海へと向いている様です。
「ステキな事してますね...」
「気持ちがイイだろな〜」
雪に閉ざされた小屋で主を待つ椅子が眺める先に目をやると、海は夕刻の薄明光線に照らし出され、
細かな波が硝子の破片を敷き詰めた様に輝いています。
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露頭に沿って怖々横移動をし、斜面を降ります。
よく観察しましたが、残念ながら化石を見つける事は出来ませんでした。
「Ryoさん、大丈夫ですか?」
「ん...ちょっと疲れてきた」
「この先もテトラなんです。今日は、終わりにしましょう...少し辛いと思いますが、雪の斜面を登って国道へ出ましょう」
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上がってみると、大して歩いていないのがわかりました。
「え〜!? たったこれだけしか歩いてないの〜」
「500mに2時間...。さすがに障害物が多すぎましたね(笑)また来て、続きをみましょう」
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家に着きパソコンを開くと、アストリアスさんからのコメントが。
「あ、お返事が来てますよ。海に流れ込む小川の崖...。ノジュールの大きさは5~8cm...なるほど...。これは望来とは違う感じですね。種類も違うかもしれません」
「思ったより小さいノジュールだね。幌内層(ぽろないそう)のスナモグリみたいな感じかな?」
「たしかに、望来のカニ化石は大きめのノジュールからが多いですものね。小川というのは幌内川ですかね?それとも途中の谷川でしょうか...」

あくる日。望来の崖から帰ってきて、Ryoが「これをクリーニングする〜」と
ワタクシに5cm程のノジュールを手渡し、支度を始めました。
端に3mm程の白い化石が覗いています。断面からして小さな巻貝か、
折れたうえ潰れたツノガイが入っている様でした。
「ま〜た、こんなビミョ〜な化石を持ってきて...」と思いながら、
クリーニングしやすくするため、ミニハンマーで荒削りをしていると、
いきなり半分に割れ、パラッと白い化石の破片がこぼれ落ちました。
中を見て驚きました。カニの爪だったのです。
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「ちょっと、Ryoさん...これ....カニッ!!」
「おぉ〜、本当だ!!イボイボがあってカッコイイね」
「...これ、望来のですよね?」
「ん、違うよ。昨日ひらったヤツ」
「あっ...これ安瀬のなんですか?」
「そうだよ」
「な〜んだ(笑)ちゃんとカニ化石ゲットしてたんですね」
「ね〜、ビミョ〜でも持ってきて良かったでしょ?」
「ホントですね〜」
「また、こんなの持ってきてとか思ってたでしょ...?」
「え、まぁ...(+∀+;)」
「実はアタシも壊れた貝化石かな〜って思ってたんだ(笑)」
「2個しか採ってないノジュールのひとつがカニ化石だったなんて、運が良いです。おかげで、ちゃんとしたブログ記事になりそうですよ(笑)」
「それにしても白くてキレイだね。幌内層のスナモグリより大きいしカッコイイよ。これ、はやくクリーニングしてみせてよ。アタシ他のするから」
バラバラになったパーツを接着し、周りを掘り込んでみました。
思いの外ツメの先は厚みがありしっかりしたものでした。
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朝、食事をする二人の間にはコースターにコロンと乗ったカニの爪。
指先でツンツンしながら、イボが...色が...大きさが...形が...と、愛でます。
「カニの本体って出ないのかな?」
「どうなんでしょうね?もしあるとしたら、望来のカニ化石よりずっと大きいですよ」
「これくらいかな?」Ryoは指で毛蟹くらいの大きさを作ってみせました。
「そんなにあるワケないでしょっ(+∀+;)!!爪の大きさからして5,6cmくらいじゃないですか?」
「そっか〜。逆に小さいのかな?爪がすっごく大きいカニもいるじゃない。重くってズリズリ...引きずって歩いてたりして」
「そりゃ、立派な爪なのに使えませんね〜(笑)」

いつだって、初めての山地、初めての化石は嬉しいものです。
まもなく春です。安瀬から厚田までずっと歩きたいと思います。
きっと、新しい出会いや発見や驚きがあることでしょう。
望来の崖の様に、どんな時でも行きたくなる様な場所になるでしょうか...。
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by motoronron | 2013-03-08 23:10 | 石狩 | Comments(29)