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化石のはなし

motoron.exblog.jp

北海道で化石採取をしている motoron と Ryoのブログです。

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7月下旬


前日は、あっしーべっしー「段段段の滝」下流の横沢を覗きつつ本流を限界まで下り、

突如出現した巨岩地帯を踏破出来ず、やむなく国道までの急斜面登り。

そのあまりの高さとハードさに息も絶え絶えになりました。

この日は、さらに下流に注ぐ沢へ行きました。

こんな風に、じわじわと範囲を広げるのがワタクシ達流。


朝から雨が降る中、芦別へ向かいます。

昨日、川から国道に上がった地点を確認し、目的だった橋までの間を調べながら進みます。

「ん~…思ったより距離がありましたね~(+∀+;)」

「夕方だったから、あのまま進んでたら大変だったね」

「Googleの航空写真を見ると巨岩ゾーンの先に大きな淵がある様なのです。もし無理に進んでいたら夜になってましたね。両岸が高い急斜面や崖の川は本当に困りますね」

「あそこは、もう歩きたくないな~…」

「…ですよね~…(+∀+;)。でも、また行かなければならないのです」

「えっ、なんでっ? 化石も殆ど無かったよ。それに、あの斜面登りたくないよ」

「実は…早い段階でカメラのバッテリーが切れてしまって、途中の沢やラストの絶景ポイントが撮れなかったのです…」

「じゃ……。また、いつか…ね」

「最後に出てきた大露頭では小さなウニの破片を見つけたじゃないですか?あそこは案外ウニポイントかもしれませんよ!」

「……どーだか。」


雨はいよいよ激しさを増し、ワイパーを最高速にしなければならない程です。

林道は途中の畑までは綺麗に草が刈られていましたが、それを過ぎると急に荒れ始めました。

林道を流れる水は、すでに深く抉られている轍をさらに鋭く穿ちます。

路面状況を確認するため少し車から降りただけで、ずぶ濡れになってしまいました。

車内には湿った冷たい空気が充満し、窓ガラスが曇ります。

「Ryoさん、寒くないですか?」

「ん~、雨に濡れるのは全然平気なんだけど。川が濁って化石が見えなくなるのは困るな…」

「下見ですから、あまり酷い様でしたら採取はあきらめましょう…」


おにぎりを頬張りながらスリップする道を慎重に進みます。

林道下には増水して濁ったアッシーベッシー本流が見えます。

「もうすぐ橋があり、それを過ぎると沢に沿って林道があります。でも、この雰囲気では、どこまで車が入れるか怪しいですね。林道から川まで結構落差がある様ですが、なんとか降りられるでしょう。それも難しい様でしたら、もう少し上の橋から降ります」

「うんと上流には行けないの?」

「ベテランの方々はその辺りに入っていると思いますが、今日は行けないでしょうね。今日の目的は下流のサントニアンです」

「ん~、芦別のサントニアン、ダメダメだからな~」

「そんな感じなんですよね~(+∀+;)でも、一応チェックはしないと」

「ハイハイ…」

「この沢は合流から1kmくらいは古第三紀と白亜紀の函淵層です。その上にサントニアンがすこし、コニアシアン...そしてセノマニアンがある様です。チューロニアンもあるのかもしれませんが、どの辺りか分かりません。そろそろ...橋だと…あっ(+∀+;)!!」

「あっ…!! どーすんのよ~」

「ここから降りるしかないですよね…。良かったですね、何十メートルも急斜面を降りなくて。ハハハ...。」

橋の手前が崩落していました。
本流に比べて沢はさほど濁っておらず、水量も大した事はありませんでした。

橋横の崩れた斜面を木にぶら下がる様にして降り、辺りを見回します。

「ここらでは植物化石が見られると思うのですが」

「葉っぱとか?」

「どうなんでしょうね…?あ…もう見つけてしまいました」

珪化木が落ちていました。随分と重いので帰りに回収する事に。

「この辺りは細かく層が入っているのですが、いずれも炭層があって似ていてワタクシには分かりません。赤平層では化石も出る様なので、何か痕跡があったら教えて下さいね」

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時折、強い風が吹き、大粒の雨と雫が樹上からザッと降り注ぎます。

しばらくは普通の沢でしたが、そのうち左右ともに荒い岩が迫ってきました。

「こーゆー所は風景は良いんだけど、化石が無いんだよね~」

「ほらっ! イノセラがありましたよ!!」

「ちっせ!!」

「…(+∀+;)。。。」


大きなプゾシアの破片。金箔を押した様に輝いています。


岩場を乗り越えながら進みます。スレたネオフィロセラスを見つけました。

なかなかのサイズで内部は美しく結晶化しています。

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大きくせり出した高い岸壁の隙間を歩きます。

「ゴードリです。破片も多くなってきたので、サントニゾーンに近付いていますよ」

「芦別はポリプチが出ないね~。サントはポリプチの破片がいっぱい出るイメージだけど...」

「確かに本流でも見ませんでしたね」

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「あれっ...。滝が出てきてしまいました(+∀+;)」

「カッコイイ滝だね~」

落差10数m、私達の立つ所からでは20m以上はあるでしょうか。なかなかの迫力です。

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吹き出し口は湾曲したスリット状で大岩を噛み、

すぐ下は大きく抉れ、全体的に鍵穴の様な印象を受けます。

地形図を見ていて、ここに障害物があるのは分かっていたのですが、砂防とばかり思っていました。

帰宅後、拡大して見ると棒線にコロンが付いた「小滝マーク」でした。


滝の写真を撮っていると、モニターにRyoが映り、そのままズンズン滝へ近付いて行きます。

「Ryoさ~ん…!!戻りますよ~!!」

「え、ここで終わりなの~?」

「さすがに、これ以上は進めないでしょう」

「あそこをさ~、こー行って、こ~行って、チョィチョィと上がればいけるんじゃない?」

「Ryoさん……(+∀+;)。この滝のどこを見たら、そんな事が言えるんですかっ!!」

「行けるって~!」

「いやいやいや!絶対にムリですってば(+∀+;)!! 今回はその手にはのりませんよ~!! 次の沢に行きましょう。戻りますよ!!」

「なんだ、つまんないの~」


ワタクシも残念ではありました。滝の上からが目指すサントニアンなのですから。

道の状態からも最近あまり人が入っていないのは明らかで、

それなりの成果を期待出来たはずなのです。

「次回は林道を歩いて、滝の上流にある橋から降りましょうね。今回はあくまで下見です。この沢は最下流から来てはいけない!! という調査結果が出ました…」

「そ~ですね。景色はイイんだけどな~。残念」

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ますます雨脚は強くなり、川面は泡立ち、景色は白くけぶっています。

服も帽子も限界まで雨を含み、服と肌の間を水が流れます。

さすがに沢の水量も増え、最初に見つけた珪化木はすっかり水没していました。

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降りた場所は泥流の滝となり足場が確保出来ず、登るのに随分と苦労しました。

やっとの思いで橋の上に這い上がると”月見”草が雨に打たれ震えながら、

ポッと明かりを灯した様に咲いていました。


国道に出ると、向い側の林道の入口に車が止まっていて、

狭い車内で数人の若い釣り人が着替えているのが見えました。

「こんな土砂降りの日に...バッカだな~!」

「ほ~んと。さて…次の沢に行きますよ(+∀+)!!」

「よしっ!行くぞっ!!」


ワタクシ達は土砂降りの中、富良野方面へと走ったのでした。







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by motoronron | 2014-09-17 16:11 | 芦別 | Comments(27)