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化石のはなし

motoron.exblog.jp

北海道で化石採取をしている motoron と Ryoのブログです。

ワタクシたちが最も歩いている石狩市望来の崖では
ワタゾコウリガイに次いでオウナガイが多産します。
その割に状態の良いものは少なく、
変形、風化、破損のない美品を見つけるのは容易ではありません。
「化石採取」となると、そのような美品を探すのが常で、多産となると尚更です。
その中でワタクシは見落としていることや、思い込みが少なからずあったようです。そのひとつが

「オウナガイにはタマガイ類の捕食痕がない(ほとんどない)」

ワタゾコウリガイには捕食痕は普通に見られます。
あまりに産出数が多いのでそのように感じるのかもしれませんが、
オウナガイよりも産出数の少ないキララガイ、シラトリガイ、
ツキガイモドキには捕食痕が多い気がします。
キヌタレガイこそ捕食痕が無いイメージです。
海底の穴を掘って生息しているためタマガイの攻撃を逃れているのかもしれません。

オウナガイの捕食痕について、三笠私立博物館の加納さんに(いつものように)質問してみました。
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オウナガイの捕食痕は幌内層産の標本では普通に見られます。
割合は、ここのオウナガイの捕食痕について調べたAmano and Jengins(2006)によると
9%だそうです(45分の4)。望来のオウナガイの捕食痕の割合も調べ同様の9%だそうです。
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幌内層のオウナガイは非常に小型ですから、タマガイによく捕食されそうな印象です。
しかし、望来のオウナガイでも同じ比率というのには驚きました。
決して研究結果を疑うわけではありませんが、ワタクシの印象とはあまりに違いました。
多産していますから、約1割というのは、かなり多いと感じるのです。

これまで漠然とした印象や記憶しかありませんでしたので、
今年からは、オウナガイを含め、ポピュラーな種の捕食痕についても
どれくらいの割合なのか調べてみたいと思います。

ところで、これは以前掲載したツキガイモドキの写真ですが
半数に明らかな捕食痕が見られます(1,2,6)。
モーライのオウナガイの穴_e0290546_02461874.jpg


一週間後、ワタクシたちも探しに行きました。合弁を12個採取しましたが、怪しいものは2つ。
モーライのオウナガイの穴_e0290546_02452117.jpg
顕微鏡で穴の付近を観察しましたが、どうも確信が持てません。
今回は得られなかったということにしました。
コンテナをあさり、ひとつだけ見つけました。これは間違いがありません。
モーライのオウナガイの穴_e0290546_02453392.jpg
モーライのオウナガイの穴_e0290546_02453532.jpg
このレベルのオウナガイを採取して、さらに穴を探す...。
これは、想像していたよりも大変な作業なのかも...(+∀+;)。








# by motoronron | 2016-03-14 23:59 | 石狩 | Comments(4)